僕らは大量の選択肢を切り捨てて今を生きているがもう遅い
「将来の夢は何ですか?」
小学校でも必ず1回は授業で取り上げられる王道中の王道テーマだ。
きっと、皆も将来の夢を小さい頃に書いたり誰かに話したりしただろう。
大抵はそんな華やかな夢が並ぶ。
小学生の頃はそれらが叶えられる未来はある。
夢に向かって正しい選択をし続ければ叶う。
口にするのは5+2の計算くらいに簡単だ。
しかし、大人になって幼い頃の夢を叶えられた人はどれだけいるのだろうか。
甲子園に出られる高校球児はほんの一握り。野球に明け暮れて死ぬ程努力しても甲子園に届かない球児が大半だ。
甲子園に出てもプロ野球選手になれるのはその中の一握り。
華やかな場所に身をおけるのはどの業界でも一握りだ。
更に、華やかな場所の中でもそこから落ちないように常に精神をすり減らして自己研鑽に励んでいる。
こんな過酷な道が続いてるんだ、多くの人間は夢に到達する前にどこかで正しい選択肢を選べなくなるに決まってる。
僕は小さい頃、医者か弁護士になりたかった。
だけど、高校生になって文理選択という選択を迫られる。
ここで僕は理系を選んだ。
理系でも弁護士になることは不可能ではないがだいぶ遠回りになってしまう。
こうして僕は弁護士という夢を切り捨てた。
大学受験では浪人することができない家庭環境だった僕は成績が足りなくて医者になることを諦めて、工学部に進学した。
僕は医者という夢を切り捨てた。
僕は齢18にして、幼い頃の夢を切り捨てることになった。
それは夢に向かって正しい選択ができなかったから。
大学進学後も選択を続け、数々の選択肢を切り捨てて就職して仕事をしている。
弁護士でも医者でもない職種だ。
今の仕事が最悪ということはないけど、幼い頃に切り捨ててきた選択肢を思い返すと
「あの頃こうすればよかったのでは……?こっちを選べばよかったのでは……?」と考えてしまうことがある。
だけどもう遅すぎる。
時間が経ち過ぎた。
選べなかった選択肢の先を夢想しても何の意味もない。
転職することはできるけど、確実に選べる仕事は減っている。
そしてこれからも選べる仕事はどんどん減っていく。
明日も明後日も今の仕事を続けることで、他の選択肢を無意識に切り捨て続けているんだ。