35歳フリーターの日曜日

35歳フリーターにも休日はある。


35歳フリーターは朝起きてから、コーヒーを1杯流し込む。

食事は摂らない。

休日は死んだように生きているのでエネルギーをさほど必要としないから。


コーヒーを流し込んだ。

家にいてもやることがない。


「ゲーセンでも行くか」

35歳フリーターはダサい服に着替えて家を出る。

「暑い……暑い……」

35歳フリーターはブツブツとそう呟きながら歩く。

すれ違う女性の身体に目を向けながら。


35歳フリーターは35歳という年齢のくせに性欲だけは男子中学生と同レベルである。

昨日も3回自慰行為に耽っていた。

無駄な性欲を抱えて生きていることを恥じてもらいたい。



35歳フリーターはゲーセンに来た。

35歳フリーターは別にゲームがそこまで好きなわけではないし、上手なわけでもない。

だけど家にいてもやることはないので、ゲーセンに来た。

要は時間潰しである。

35歳フリーターはゲーセンの中をウロウロしたり適当にゲームをしたりしていると……


「ウッヒョ!!」

どうやら35歳フリーターは好みの女の子を見つけたらしい。

さりげなくその女の子の隣でゲームをする。

チラチラと女の子の身体を眺めながら。

正直、ゲームに集中はしていない。

見ているのは身体だけ。


女の子は逃げるように35歳フリーターの近くから去って行った。


「行っちゃった……」

35歳フリーターは悲しみと同時に女性を見たことでムラムラしてきた。

昼飯を食べて、帰って自慰行為をすることに決めた。


35歳フリーターの今日の昼飯は、牛丼チェーン店の牛丼並盛380円。

35歳フリーターには美味しいものを食べたいという欲求が人よりも弱かった。

だから、安くてそれなりに量があるものを胃に詰め込むことをしばしばやる。


食欲はあまりない。

あるのはただただドロドロになった性欲だけ。


昼飯を食べて帰宅した35歳フリーター。

今日は競馬があるから馬券を買おうと思った。


35歳フリーターは競馬が好きだった。

変わり映えのない日常。

淡々と流れる日々。

毎日何の刺激もなく生きている35歳フリーターにとって、人生はつまらなかった。だから競馬をやっている。

この歳になると、毎日が同じことの繰り返しで飽き飽きする。だから競馬をやっている。


ちなみに収支はかなりマイナス。

典型的な養分である。


35歳フリーターは馬券を買い、レースを観る。

騎手と馬に想いを託して祈るように観る。

人から想いを託されなくなった側の人間が、誰かに縋っている様はどうみても滑稽だった。


「キターーー!!!」

どうやら35歳フリーターは小銭を当てたらしい。

小銭を当てたところで今更何になるんだろうか。


競馬が終わり、35歳フリーターは自慰行為を開始。

せっせと女性を性的消費して自慰行為に耽った。



誰かに縋り、誰かを消費する。

何も生産せず、消費するだけの35歳フリーターの日曜日が終わる。

何も成せないまま。