告白の手紙(ショートショート)

僕は一仕事終えて、帰宅した。
自宅の郵便受けを覗くと、何も書かれていない封筒が入っていた。
中に入っていたのは 1枚の紙。

「なんだろう?」と思いながらも僕は封筒を持って部屋に入った。
封筒を開け、丁寧に折りたたまれた紙を開く。
手紙のようだ。
「あなたのことが好きでした」という書き出しが目に入った。

「これは告白の手紙ってやつか!?」僕は少しだけ浮き足だった気分になり、はやる気持ちを抑えながら文章に目を通していく。

「あなたのことが好きでした。私はあなたのことが学生の頃から好きで、ずっと見ていました。何かに打ち込む時の真剣な目。時折見せる優しい笑顔。私はあなたのそういう面にどんどん夢中になっていきました。
私は自分の気持ちを抑えられず、あなたに告白をしました。顔から火が出るくらい恥ずかしかったです。あなたからOKをもらえた時はこの世の幸せが全て自分のものになったかのような気持ちでした。
去年、私は好きだったあなたと結婚して、とても幸せな日々が始まる予感をヒシヒシと感じていました。
あなたのことが好きでした。大好きでした。
ずっとずっと見ていました。

あなたが仕事で頑張っている姿も見ていました。あなたが職場で知り合った女とホテルに行くのも見ていました。そして、行為の後、帰り道であなたに奥さんがいることを知った女が「会社にバラす!アンタの居場所を無くしてやる!」と喚き散らしたシーンも見ていました。あなたは会社や私に不倫関係がバレることを恐れたあまり、その女を殺して川に捨てたことも見ていました。
あなたのことが好きでしたが、ここでお別れです。先程、警察に全て話しました。そろそろ川から遺体を引き上げた警察があなたの元にやってくるころだと思います。」

告白の手紙を読み終わると同時に玄関からチャイムとドアを叩く音が無音の部屋に響いた。