【ネタバレ有り】朝井リョウさんの「何者」を読んで感じたこと
本を読み終わった瞬間、感じた思いをぶつけたくなった。
読んだ本は、映画にもなった
朝井リョウさんの「何者」
就活とSNSをテーマにした小説で、就活生たちの苦悩、葛藤などが時には残酷なほど鮮明に記されている。
就活前や就活してる人にはあんまりオススメできないかもしれない。
主要な登場人物は
主人公の二宮拓人、主人公とルームシェアしてる光太郎、光太郎の元恋人の瑞月、瑞月の友達の理香、理香の恋人の隆良、主人公と昔一緒に演劇をやっていたギンジの6人。
理香はいわゆる、意識高い系女子でESの添削を受けたり、面接練習をしたり、OB訪問やインターンに行きまくってることを度々ツイートする。
それを見た主人公は
「頑張ってるアピールさむいわぁwww」
と思う。
事実、就活してる時にこういう女は多かった。就活経験がある人ならこういうタイプの女を見たことがあるかもしれない。
主人公と昔演劇をやっていたギンジは
ツイッターで「打ち合わせ終了!これから頑張って良い作品作ります!」みたいなツイートをする。
主人公はそれを見て
「まだそんなことを言う段階じゃないだろう。作品を作った後にそういうのは話すべき」と思う。
こんな作品や物をつくってまーす!
みたいなツイートをする人、こういうタイプも見たことがあるかもしれない。僕はある。
就活をせずに生きていこうとしている隆良は「今、こんな本を読んでいる。」
「今日はこんな人と会った。良い企画ができそうだ。」というようなツイートをしている。
主人公はそれを見て
「こいつもギンジと同じ人種か」と思う。
ある日、主人公は理香にTwitterの裏アカを持っていることがバレる。アカウント名は「何者」。
そこには理香、隆良、光太郎、瑞月、ギンジの悪口が書かれていた。
理香は主人公を裁くかのように言う。
「私ね、君に内定が出ない理由分かるよ。君はそうやって観察者でいようとして、自分が何者かであるフリをしてるんだよね。
そんなんだから就活2年目になっても内定が出ないんだよ。
私だってそりゃ自分が努力アピールばかりしてるの分かってるよ!だけど10点でも20点でもいいから自分の中から外へ出さないと世間は見てくれないの!もう、そうやって努力中継でもしないと立っていられないの……」
ラストシーン直前で主人公が就活2年目ということが初めて分かる。
他の人は留年や留学で就活が1年遅くなっていたことがここで説明される。
これまで主人公と一緒に
「うわぁwwwこいつらTwitterで意識高い系ツイートばかりだなぁwww」と楽しんで観察者気取りの読者がここで地獄に引きずり込まれる。
お前はどうなんだ。人のことを観察してバカにしてるだけか?お前は何者だ?
10点でも20点でもいいからと思って色々頑張って発信してる人間の方が偉いんじゃないのか?
そんな問いを最後の最後に突き付けられた作品だった。