「今頑張れば将来、楽になれる」という言葉の意味

小中学生の頃、親を始め周りの大人にこういう言葉をかけられたことがある人は多いと思う。

「今頑張れば将来、楽になれるよ」って。

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勉強を頑張れば将来いい仕事について良い生活ができる。

幼い頃からS君はそう信じて、必死に勉強をしてきた。


S君は中学生の頃、200人くらいいる同学年の生徒の中で1桁順位をほぼ常にキープしていた。

遊んでばかりいた友達を横目に、コツコツと勉強を続けて、受験を勝ち抜き、S君は進学校へ進んだ。


高校生になってから、また勉強を強いられる日々が始まった。

決められたことをひたすら詰め込み、テストで良い点を取って、良い大学に進学する。

そうすることで幸せになれる。

S君は勉強をし続けた。

大学受験の時には精神的に不安定になり体調を崩した。


それでも何とか大学受験にも合格して、やっと一息つけると思った。

大学生活は一般的に楽だと言われているが、正直言ってそこまで楽ではなかった。

S君は必修科目が多い理系の国公立大に進学し、将来の選択肢を増やすために追加で講義を受けて教員免許も取った。

平日に大学に行かなくてもよい全休なんてものは4年間で1度もなかった。

だけど、いっぱい勉強することで将来楽になると思って頑張った。


そして、大学3年生になり就活の時期が迫った頃、S君は気付く。

「あれ?僕が仕事にしたいことって何だろう?」と

今まで、ひたすらに与えられた勉強だけを詰め込んできたS君は自分のやりたいことなんかなかった。


結局、S君は何かを詰め込んで覚えることしか能がない人間だから国家公務員試験を受けた。

試験勉強を毎日狂うようにしていたのでまた体調を崩した。

大学受験の再来かと思った。

とても苦しかった。


国家公務員試験の結果は合格。

特に筆記テストは全受験者の上位5%以内に入っていた。

世間的に安定していると言われる国家公務員に僕はなる!!これでやっと楽になれる!!

S君はそう思った。




そして、4月、いざ仕事に就くと地獄が待っていた。


朝早く起きて夜遅くまで働かないといけない。

上司の機嫌を損ねないように気を遣いながら仕事をしないといけない。

おまけにやるのは役所仕事で、自分の裁量はほとんどなく、人の役に立っている実感もない。

給料だってそんなに高くない。

「今頑張れば将来、楽になれるよ」

その言葉をふと思い出す。

S君は勉強を頑張り続けたから楽になれる将来を迎えるはずだった。

S君が昔、必死に勉強を頑張っていた頃に遊んでいた奴らはやりたいことを見つけて、その関係の仕事に就いてイキイキと働いている。


「今頑張れば将来楽になれるよ。」

この言葉の意味をS君は取り違えていたのかもしれない。


頑張る=勉強する

という単純なことしか考え付かなかった頭の悪いS君は自分が本当にやりたくて頑張りたいことを見つけられなかった。

こんなのは頑張ってこなかったのと変わらないのではないか。


頑張ってこなかったから、今こんな状況になっているんだ。

頑張ってこなかったから、自分はこれからも罰を受け続けるんだ。


願わくば、これを見た若い人は自分が仕事としてやりたいことを頑張って見つけて欲しい。

そのやりたいことに知識が必要ならそのために頑張って勉強して欲しい。

それが将来楽になるための「頑張る」ってことだから。


以上、頑張るを履き違えたS君のお話でした。