仕事辞めたいマンの一生
仕事辞めたいマンは今日も出勤の道すがら、呟きます。
「仕事やめたい……」
仕事辞めたいマンは今、社会人2年目の24歳。
仕事辞めたいマンは金曜日の退勤時に叫びます。
「やったーーー!!休みだーーー!!!」
仕事辞めたいマンは疲労のあまり、土曜日を寝て過ごします。
そして日曜日の昼頃からソワソワし始めます。
「また明日から仕事?5連勤?仕事やめてぇ……」
これが仕事辞めたいマンの1週間です。
仕事辞めたいマンは月曜日の朝、電車に飛び込む妄想を何度も何度もしますが、死ぬ度胸がないので飛び込めません。
ビビりなので。
こうしてるうちに、仕事辞めたいマンの同期が退職することになりました。
別にやりたいことが見つかって、転職するとの話でした。
仕事辞めたいマンはその人を見送りながら
「あーあ、僕も仕事辞めたい……」とこぼします。
だけど、仕事辞めたいマンは今の仕事はもちろんですが、他にやりたい仕事もありません。
仕事辞めたいマンは「辞めたい、辞めたい」
と言いながらズルズルと職を続けていきます。
そして、約40年後……
仕事辞めたいマンは仕事辞めたいと言い続けながら働き続けて定年退職を迎えます。
「やっと!この仕事やめれる!仕事行かなくていい!!」
勤務最終日、仕事辞めたいマンは職場を出て高笑いをしました。
帰りに珍しくお酒を買いました。
お世辞にも良いとは言えない家で飲んでいる時に、ふと自分の仕事人生を思い返して気づきました。
「40年間仕事してきたけど、つらい、仕事やめたい以外の感情がなかったな……僕は40年間の仕事人生はなんだったのかな……?」と
仕事辞めたいマンは後悔しました。
自分のやりたいことすらなく、言われたことだけを「つらい、辞めたい」とこぼしながら続けた40年。
自分の代わりに誰がやっても勤まる仕事をイヤイヤ続けた40年。
仕事辞めたいマンの仕事人生は何だったんだろうか。
日本に大量にいるであろう仕事辞めたい社会人には、仕事辞めたいマンのような結末を迎えることがないように祈っています。